環境 Environment
当社は2021年に新たな環境方針を設定しました。
今までも、CO2削減やNOx・SOx規制に対応した製品を作ってまいりましたが、より一層、環境方針に基づいた事業活動を徹底してまいります。
事業活動以外にも、役員・従業員一人一人が「環境」について意識し、自分にできることから取り組むことが重要であり、社内啓蒙活動等も行いながら、持続可能な社会へ貢献してまいります。
製品に関する取り組み(SCOPE-3)
当社を取り巻く内航海運業界について
CO2排出に係る内航海運の位置づけ
当社を取り巻く内航海運のCO2排出量は、日本国内の排出量10億4,400万トンのうち986万トンです。さらに、運輸部門1億8,500万トンのうちでも5.3%と占める割合は小さいですが、内航船用のエンジンのトップシェアを占める企業としてこの986万トンを、より減少させるべくカーボンニュートラルやカーボンフリーエンジンの追究・開発に取り組んでまいります。

出典 国土交通省「運輸部門における二酸化炭素排出量」
環境にやさしい内航海運
内航海運の代表的な船型である499総トンの船舶1隻で10トントラックの約160台分に相当する輸送が可能です。さらに、同じ重さの貨物を運ぶ際に排出するCO2量がトラックの1/6以下と環境に優しい輸送機関であることは、国土交通省により証明されています。

出典 国土交通省「内航海運を取り巻く現状及びこれまでの取組み」
当社製品のCO2削減、NOx・SOx規制への対応
SCOPE-3の削減目標
当社のSCOPE-3に係るCO2排出は、製造・販売したエンジンを使用し船を動かしている時の排出量がほとんどの割合を占めます。従って、年間の総排出量は稼働台数・販売台数・機種構成によって大きく変動するため、一定の条件のもとで出力1kW当たりの排出量の削減目標をたて、その目標に向かって取り組みを進めております。
【SCOPE-3 削減目標】
2019~2022年 実績平均 |
2030年 目標 |
|
---|---|---|
出力1kW当たり排出量(CO2-t/年) |
1.839 |
1.694(△8%) |
- 算出条件(年間航行時間3,000h、A重油CO2排出係数3.206)
- 販売条件(年間62台、4台⇒グリーンメタノールエンジン、4台⇒ガスエンジン、
3台⇒電子制御エンジン、残51台⇒'S'エンジン)
-
2019-2022年
実績平均から
2030年までに
△8%を
目指します
メタノールエンジン(LA28M)について
メタノール燃焼の基礎技術は1989年の実証試験で所期の性能を確認しております。今回この技術を低速4サイクル機関「LA28」に投入することで、メタノールエンジン「LA28M」として生まれ変わり、船に搭載されます。このプロジェクト船は関連企業とのコンソーシアムで2024年の就航を目指しています。
メタノールは重油と比較し、SOx排出量最大99%、NOx排出量最大80%、CO2排出量最大15%削減することができます。さらにPM排出量も最大95%削減できます。
さらに、メタノールはCO2と水素を原料として製造できることから、将来的にはCO2の回収・輸送事業を活用し、洋上風力や波力など再生可能資源に由来する電力を利用した水素と合成して製造することも可能になります(グリーンメタノール)。それを燃料として利用すれば、環境循環型サイクルとなり、排出される正味のCO2量をゼロにすることができます(カーボンニュートラル)。

'S(スペシャル)'シリーズエンジンの開発
主力のLA&LH-L形機関の燃費改善バージョン「Sシリーズ」を順次開発中です。燃費改善とともに約2%のCO2排出削減が実現できます。
- 詳細は低速4サイクル機関のラインナップをご覧ください
当社メタノールエンジン「LA28M」と「Sシリーズ」のCO2排出量について
(LA32ベース比較) | グレーメタノール | Sシリーズ | 現行 |
---|---|---|---|
CO2排出量(相対値) |
90 |
98 |
100 |
年間CO2排出量 |
2,610t |
2,842t |
2,900t |
- 算出条件(1,618kW、年間航行時間3,000h、A重油CO2排出係数3.206)
- グレーメタノール;天然ガス由来のメタノール
(もし)年間62台生産でメタノールエンジンとSシリーズを31台ずつ販売すると・・・

さらに、グリーンメタノール利用 となると・・・

CO2排出量約25%削減のガスエンジン
当社は2018年に低速4サイクルエンジンとしては世界初となるガスエンジンを開発しています。天然ガスを燃料としているため、CO2排出量を約25%削減でき、NOx3次規制SOx規制にも対応しています。
次世代バイオディーゼル燃料の活用
カーボンニュートラルのバイオ燃料が舶用燃料としても急速に普及する可能性があります。当社現用のディーゼルエンジンでは特に問題がなく稼働することを実証しました。燃料供給側の課題が解決すればさまざまな内航船で活躍することができます。
工場・事務所に関する取り組み
生産活動によるCO2排出量(SCOPE-2)
SCOPE-2の削減目標
工場からのCO2排出量は、生産量に大きく依存しますが、生産効率をアップすること、仕損を減少させること、作業のムダをなくすことを主な対策として、その削減に取り組んでいます。政府目標である2030年までのCO2排出削減目標(2013年度比46%減)にできる限り近づけるよう邁進していきます。
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対策済み項目
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- 2010年 玉津工場の電気炉設置済
- 2018年 本社照明をLEDへ置き換え
- 2020年 全工場・事務所棟の照明をLEDへ置き換え
- 工場・事務所棟内のエアコンを省エネタイプ設置
- 太陽光発電設備設置済
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今後の取り組み
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- 生産効率アップ
- 仕損削減
- エンジン試運転時間の削減
玉津工場 電気炉設置
2009年に玉津工場の溶解設備を熱風水冷式キュポラから電力を用いた溶解設備(サイリスタ・インバーター式誘導電気炉)へ更新をしています。
<メリット>
- NOx、SOxの排出量は無し、キュポラに比べてばいじん排出量はゼロ、CO2排出量は年間679トンの削減
- 契約電力を生産量に合わせることで効率的な運用が行え操業の自由度が高い
- 温度設定が自由にでき品質の改善に寄与


太陽光発電設備設置
2013年5月より明石工場にて太陽光発電設備を稼働させています。最大出力30kWで年間約17トンのCO2排出量相当の再生可能エネルギー生産をしており、現在まで約132トンのCO2排出量相当の発電となっています。
明石工場事務所棟入口にモニターを設置し、発電量の見える化も実施しています。


工場・事務所からのCO2排出量推移
工場・事務所からのCO2排出量は生産量に大きく依存するため、CO2排出量の80%以上を占める生産用電力に大きく影響し右肩下がりになりにくい傾向がありますが、照明をLEDに変更したり、設備やエアコンを省エネタイプに変更したりと対策をしています。再生可能エネルギー電力への転換が大きなカギですが、当社の取り組みとしては生産効率を今まで以上にアップすること等を意識し、CO2削減に取り組んでいきます。

生産活動による廃棄物排出
生産活動により排出される廃棄物は、廃棄物の排出を根源から減少させていくこと・リサイクル率をアップさせることを重点的に取り組んでいきます。さらに、梱包材や紙素材を環境に配慮した素材へと切り替えていくことを検討していきます。
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取り組み策
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- 木箱納入をトライウォールに変更
- 段ボールを発送用の緩衝材へ加工し再利用

環境方針
阪神内燃機工業株式会社は、「人と環境に優しい企業活動」を基本に環境マネジメントシステムを構築し,環境問題の低減と継続的な改善を目指した生産活動、環境対応型製品の開発を積極的に推進し、地域社会の一員として、低炭素社会、持続可能な社会の発展に貢献する。
- 国際規格ISO14001に基づき、環境マネジメントシステムを構築し、継続的改善を推進すると共に、環境保護・環境保全に努める。
- 環境関連法規制及びその他要求事項を遵守し、環境汚染防止をする。
- 環境方針を達成するために、環境目標を設定し、全社で取り組むとともに、定期的に見直しをする。
- 環境に配慮した企業活動の中で,特に次の事項を重点的に取り組む。
- 地球温暖化を防ぐための低炭素化技術の開発。
- 天然資源の枯渇を防ぐための省エネ、省資源化。
- 設備等の管理による汚染の防止。
- 廃棄物、排出物の削減及びリサイクルの推進。
- 環境対応型製品の開発・提供。
- 緊急事態に伴う環境影響の予防、緩和を図るために危機管理を実践する。
- この環境方針は、組織のために働く全ての人に周知すると共に社外に開示する。